インタビュー

INTERVIEW

aoba violin class 渡邉さん〈後編〉
【気づきの芽】キャリア教育への取り組み

第2回はバイオリン教室「aoba violin class」を主宰し、
ご自身も音楽活動をされている渡邉 佳奈子さんにお話を伺いました。
全3回でお届けします。

aoba violin class 渡邉さん〈後編〉【気づきの芽】キャリア教育への取り組み

「自分に軸があれば誰に罪悪感を覚えることはない。

脱するまで私も長かった。そして、目指すは先生たちの意識改革。」

 

――渡邉さんにラブリエCafeで初めて企画をやっていただいたのが、初めてバイオリンを触る子どもたちにレッスンして、その日に発表をしてもらうというワークショップでしたね。2016年の11月、ヨツバコの5周年のときでした。

バイオリンってすごく敷居が高い。楽器が高そうとか、しずかちゃんのイメージというか。ピアノのように気軽に体験レッスンに行ったりというのがあまりないので少しでも気軽に身近にと思って。やっぱり子どもは集中力もスイッチが入るとガッといくので、最年少で3歳のお子さんでしたが、飽きずに1時間半集中していました。

 

――本当に素敵な演奏でしたね。

実はワークショップに参加していただいたお子さんとのつながりもできました。私の教室の発表会に足を運んでいただけたり、その後の進路を見守らせていただけたりと嬉しい関係が続いています。私が演奏するということではなくて“ワークショップ”という形が初めてだったのですが、レッスン以外にもこういうことができるんだと私自身も幅が広がりました。

 

――ラブリエCafeに入会されたきっかけは何だったのですか。

娘のお稽古でヨツバコに通っていてラブリエCafeの存在は知ってはいました。この空間の素敵さも。きっと自分が起業したい(お教室をやりたい)と思っていた時に、何かやりたいという気持ちとタイミングがあったんですね。ママたちが何かできるというキャッチフレーズに惹かれました。「みんなでやりたいことをいってミーティングしましょう」というのもすごく面白いなって思ったんです。

記念すべきラブリエCafe第1回目のアイデアミーティング!

――ヨツバコ5周年イベントのアイデアをみんなで出しあう“アイデアミーティング”に参加されたのが初回だったのですね。

最初は正直なところ、私がいてよかったのかなと思ったりもしたんです。初めてのメンバーがその時は私も含め2人だけで。でも皆さんが受け入れてくれて雰囲気がよくって、気づいたら企画が決まっていました。(笑)

 

――今後の活動についてやりたいことや夢はありますか。

ジュニアのオーケストラを作りたいです。今はまだ構想段階ですが、中古のバイオリンを収集したり、アンサンブルのクラスを大きくしてみようかなと検討したりしています。イメージとしては、草野球チームに入るみたいな感覚で近所のオケに入る、という未来が理想です!楽器を弾くことが限られた人の特別な楽しみではなく、それくらい本当に日常なものになったらなと。
それから、音大を目指している方、現役生の方、音大卒の方など音楽に関わる方たちのキャリアサポートをしているんですが、もっと深めていけたらと思っています。

――キャリアサポートというと具体的にどういったことですか。

レッスンや教室とは別に、将来のことに悩む子ども、学生たちの進路相談にのっています。自分が学生だった頃から変わってきてはいるとは思いますが、音大では就職のサポートは全くありませんでした。音大はあくまでも環境が整うという良さはありますが、その先が保証されるというわけでもない。法学部を出たからみんなが弁護士になるわけではないというのと一緒なのですが、それが音大だと「音大出たのに」という言葉の重圧に必要以上に引け目を感じるというか…。技術でこの先もやっていこうと思っていた人であればあるほどだと思います。お家の人も入学するまではすごく応援してくれるけれど、卒業するとなったら現実を見なさいと。それって不思議だなぁと。お家の人が進路のことを知るすべもないかもしれませんが、なんだか‟ねじれ“を感じるんです。「音大卒」ということをなかったことにしている人も多いと感じます。

 

――専門性が高いだけに、また、音楽を学ぶということに高尚なイメージがあるから世間の目が厳しくなってしまうのでしょうか。

音大に入るために早い人だと幼稚園くらいから準備を始めている人もいます。動機付けは親がするとしても、徐々に手を放して本人のところにシフトしていくのが大切だと思います。よく聞かれるんです、「結婚しても子供がいても音楽って続けられるんですか。採用試験を通らないと先生にはなれないんですか」って。正採用以外の道は色々ありますし、今”パラレルキャリア”っていう言葉もありますが、色んなことにチャレンジしてバランスを取りながらやっていく方法もあるんですよね。でも大学では誰に相談していいか分からない。大学の「就職支援課」に行けば「就職」に特化はしていますが、特に女性は仕事に就いたら解決するかといったらそうではないと思っていて。結婚とか出産とかその中で音楽との付き合い方は変わる。子どもがいるから、家族の理解が得られないから、と思うようにいかない原因を外に向けてしまうこともあるでしょう。でも自分に軸(決めていること)があれば一般職でもアルバイトでも、誰に罪悪感を覚えることもない。その悩みを脱するまで私も長かったんです。
同業の先生たちと話をすると、女性のキャリアの問題は根深いなと感じます。今、そういった先生同士がサポートし合えるコミュニティ「音楽講師のための“教える”ラボ」を作っていて、もっと活性化していけたらなと思っています。

――実際どんな声があるのですか。

例えば第一子を出産して音楽との向き合い方が変わる。産休明けにもう一度教室を始めたいけれど2人目もほしい。でも生徒さんにも迷惑がかかる。個人事業主だと一度教室を閉じる(休業する)んですね。自分で教室をやりたいという人は熱い人が多いので責任感ゆえに踏み出しにくい。先生コミュニティがあれば、妊娠・出産、転勤、そういったときにフォローし合えます。手塩にかけて育てた生徒さんが引っ越しする際も信頼できる先生に引き継げます。悩んだ時、情報がほしいときにもシェアできる。

 

――一人では限界がありますものね。

表のテーマは、つながって助け合い学び合いましょうというところなんですけど、もう一つあるんです。裏テーマは、フラットな学びの場でインプット型からアウトプット型へ教育をシフトしようよ、というところ。つまり、先生たちの意識改革なんですね。インプットされたものを表現するためのレッスンを受けてきて、先生がいなくなったときにどう弾いていいか分からない。学ぶ、教えを乞うというスタイルでずっとやっていくと受け身で終わってしまう、これって不幸なことだと思って。例えば、文字は書けるけど自分の思いを作文にすることができないって悲しいですよね。言葉と一緒で音楽は自己表現の手立て。先生たちも意識を変えていかなきゃと思うんです。今、20、30人くらいのメンバーがいて、その思いが枝分かれしてどんどんつながっていければいいなと思っています。ルールや管理といった縛りのある閉鎖的なコミュニティではなく、枝葉を伸ばしてみんなの可能性を広げてくれる足がかりになればと願っています。

「音楽講師のための“教える”ラボ」

渡邉さん主宰のバイオリン教室「aoba violin class」

――たくさんの実りにつながるといいですね。ありがとうございました!

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