インタビュー

INTERVIEW

aoba violin class 渡邉さん〈中編〉
【教育への想い】バイオリンから広がる世界

第2回はバイオリン教室「aoba violin class」を主宰し、
ご自身も音楽活動をされている渡邉 佳奈子さんにお話を伺いました。
全3回でお届けします。

aoba violin class 渡邉さん〈中編〉【教育への想い】バイオリンから広がる世界

「バイオリンを弾くのはあくまでも自己表現の手立てのひとつ。

音楽を通じてどんな子どもを育てたいか言葉にして伝えていきたい。」

 

――「やめたくて仕方ない」そんな状況を脱するきっかけは何だったんですか。

大学1年の頃、就職のための自己分析の本をきっかけに、とことん自分と向き合ってみたんです。分厚い本を読みながら葛藤して、まず、バイオリンからヴィオラに転向しました。
ヴィオラって小さいサイズがなくて、皆さん始めるのが中学くらいからなので、ヴィオラを専攻して音楽高校に入る人は少なくてある意味競争率が低い。なので、これだったら私は生き残れるのではという打算がありました。くすぶってる中で、なんとしてでも音楽の世界にいたいんだけど、バイオリンでは難しいから何とかしたいなって思いだったんですよね。本当に下剋上の世界なので。

――楽器自体を変えるというのは覚悟がいりますね。

“逃げた”という思いがずっと残っていたので、悩んでいる人がいたら絶対に勧めないです。
それから、「ロシアが好き!」という自分の中にあったキーワードから「じゃあ2年後にロシアに行こう!」と決めたんです。音楽留学ではなく3週間の語学留学なのですが、ロシア語の個人レッスンに2年通って満を持してロシアへ。ヴィオラを担いで行って、有名なロシアのヴィオラ奏者にアポなしでレッスンを頼みにいきました。直談判です!残念ながらコンサートシーズンでご本人は不在だったんですけどね。留学中、コンサートでヴィオラを弾いていた人の楽屋にいってレッスンをしてほしいとお願いしたりもしました。

大きさに形、それぞれに個性のあるヴィオラたち

 

――ものすごい行動力。そのガッツで壁を乗り越えられたのですね。

海外にいって価値観に影響を受けたというより、自分で決めたことをやり遂げたということが大きかったですね。自分で突き詰めたことを1つ仮説を立てて、検証しに行って、ということができたというのが自信になりました。学校に居場所がなくて、なんでここにいるんだろうと答えをずっと探していた中で、やっと光が見えた気がしました。

――入学されてからのギャップと格闘された期間が長かったと思いますが、得られるものもありましたか。

周りの人に音楽の世界を広げてもらいました。自分だけに向かっていく練習はつらくなるけれども、アンサンブルで音が重なる瞬間を共有するために練習するのは楽しいんだ、ということを知りました。阿吽の呼吸、というんでしょうか。
今自分の教室で一番大切にしている”本物の中で経験から学ぶ”は、この頃の経験がもとになっているのかもしれません。そして何よりもやっぱり、”できる”ようになって”楽しいね”というところを目指さなきゃな、というのが教室を主宰するようになってからのこの2年間での気づきなんです。
よく私は“見えないコップに水を注ぎ続ける”と表現しているのですが、そのコップがいっぱいになって溢れ出す瞬間。それがいつかは分からないけれど、いつか溢れるっていうのを信じるしかない。でも、赤ちゃんが言葉をしゃべれるようになるのと一緒でいっぱい愛情を向けて話しかけ続けていると、ある日一言、二言返ってくるじゃないですか。それと同じ感覚。だから、出産して、復帰してからの方が教育の現場が楽しくなりました。

レッスンの様子


――自分の教室を持つようになって、これまでと一番変わったことは何でしょうか。

自分が何を教えるかという表面的なことではなく、それを通じて‟何を、どんな子どもを育てたいか”を言葉にしてお家の方に伝えていくということでしょうか。自分自身が目的の分からない練習は苦痛だった経験から、どうしてこの練習があるのかと子どもに伝えたり。また、目的と目標をはき違えてしまった時期があるので、教室では‟何のために”という点を常に意識させたいですね。単に技術の習得に偏るのではなくて、バイオリンを弾けるというのはあくまでも自己表現の手立てのひとつなので、自分が弾きたいように弾けるというのがゴールだと思うんです。子どもたちにもバイオリンを1つの手掛かりに世界を広げてもらえたら嬉しいです。

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